Department Overview 学科概要
鉄鋼から半導体、エネルギー材料まで。118の元素から無限の可能性を引き出す学び
私たちの社会は、新しい材料の発見とともに進化してきました。
大量生産の時代を支えた鉄鋼、自動車社会を広げた高強度金属、空を飛ぶ技術を実現したジュラルミン、そしてスマートフォンや IoT を支える半導体材料―わずか118種類の元素の組み合わせから、これほど多彩で革新的な材料が生まれてきたのです。
そして今、日本は改めて「材料科学」が不可欠な時代の只中にあります。資源に乏しい我が国は、鉄鉱石やレアメタル、エネルギー資源の多くを海外に依存しています。加えて、世界では資源獲得競争が激化し、半導体サプライチェーンの分断やエネルギー安全保障の問題が、これまで以上に大きな課題として浮かび上がっています。地政学的緊張の高まりや、脱炭素社会への急速な転換といった背景は、「新しい材料を自らの手で生み出す力」 の重要性を一段と高めています。こうした状況のなかで、材料工学科では「未来を変える材料づくり」を学び、実験し、発見することができます。
材料はすべての“モノづくりの出発点”であり、国の産業競争力と安全保障を支える基盤そのものです。ここで学ぶ知識と技術は、エネルギー環境、モビリティ、宇宙航空、医療・バイオ、ロボティクス、情報通信など、あらゆる分野へつながっていきます。資源制約という日本の現実に真正面から向き合いながら、世界に通用する新材料やプロセスを探究することは、未来社会を支える極めて重要な挑戦なのです。


What Do You Learn? 学べる内容
材料工学科では、スマホや車、建物、電池など、現代社会を支える“材料”の科学と技術を学びます。材料工学は、物理や化学の知識をもとに、原料から材料をつくり、強さや性能を調整し、新しい機能を生み出す“ものづくりの根幹”です。学科の歴史は古く、日本有数の材料系学科として発展してきました。
学びの中心は3つあります。
1つ目は、鉱石やスクラップから金属を取り出し、精製し、リサイクルする“つくる科学”。熱力学や電気化学を使い、環境にやさしい金属づくりや資源循環の技術を学びます。電解精錬や溶融塩の利用など、社会の持続性に直結するプロセスも扱われています。
2つ目は、材料の強さや壊れにくさを決めるミクロな構造に注目し、熱処理や加工で性能を設計する分野です。鋼をより強く安全にしたり、結晶の成長を観察して新しい金属のつくり方を考えたりと、交通・建築・エネルギーなど多くの産業を支える基盤になる内容です。
3つ目は、電気を運んだり、熱を電気に変えたり、磁場を遮ったりする“機能材料”の世界。電池材料の開発や新しいエネルギー材料の探索、薄膜技術による超電導材料の研究など、未来の技術と直結するテーマが数多くあります。最近では計算科学や機械学習を使って新材料を発見する研究も進んでいます。
2年次後期からは本格的な学生実験が始まり、金属の溶解・鋳造、組織解析、電気化学測定など、実際に手を動かしながら材料づくりを体得します。その後、3年次で専門を深め、4年次から研究室に所属して卒業研究に挑戦します。学科のカリキュラムや実験開始時期も公式サイトで公開されています。
材料を変えることは、社会の未来をつくることにつながります。エネルギー、モビリティ、情報、環境など、あらゆる分野で新しい“材料”が求められる今、九州大学材料工学科は、次の時代の技術を担う人材が育つ場所です。自分の手で新しい材料を生み出す面白さを、ぜひ学んでみませんか。



Introduction Movie 学科紹介動画
Voices of Seniors 先輩の声
先輩たちの声を覗いてみましょう。
Department Policy 学科ポリシー
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アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)
(1)工学部が求める学生
本学では、本学教育憲章の理念と目的を達成するために、高等学校等における基礎的教科・科目の幅広い履修を基盤とし、大学における総合的な教養教育や専門基礎教育を受けて自ら学ぶ姿勢を身に付け、さらに進んで自ら立てた問いを創造的・批判的に吟味・検討するとともに、他者と協働しながら幅広い視野で問題解決にあたる力を持つ人間へと成長する学生を求めている。
加えて、工学部では、高等学校等までに学習した国語、英語、数学、理科、社会の学力を有したうえで、物理学や化学など自然科学の原理と法則を理解し、幅広い教養と倫理観および国際的視野を併せ持って文明の持続的発展を支える「ものづくり」を先導する技術者、研究者として成長したいという強い意欲と適性を持った学生を求めている。したがって、以下の観点が重要である。
1) 知識・技能:
・ 高等学校等における基礎的教科・科目の履修を通して獲得される知識・技能
2) 思考力・判断力・表現力等の能力:
・ 多面的に考え、客観的に批判し、自分の言葉で人に伝える資質
・ 広く応用力・創造力・国際性を獲得するために努力を惜しまない姿勢
3) 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度:
・ 多様性を尊重する態度と異なる考えに共感する寛容性
・ 常に自らを向上させようとする意欲(2)各学科が求める学生(総合型選抜を実施する学科のみ記載)
〇材料工学科
自然科学と材料工学に関する学問を深く学ぶために必要な基礎的能力を身に付ける努力をいとわず、それらに関連する仕事に携わりたいという希望や意欲を持つ、一定の教養と倫理観を身につけている学生。 -
カリキュラムポリシー(教育課程の編成・実施方針)
工学部では、「基幹教育」と「専攻教育」を通して、工学分野における専門性、先導性、学際性、国際性を有する人材を育成する。本学科では、九州大学工学部及び工学系学府の学士・修士一貫型教育の方針に則り、次のとおりカリキュラムを編成する。
【工学部共通教育】(1年次)
「主体的な学び・協働」と「工学分野共通の知識・能力・ものの考え方」を身に付け、「社会における工学の価値の理解」を涵養する基盤として、基幹教育科目及び専攻教育科目に、学科を問わず工学部生全員が履修する学部共通教育として必修科目を設ける。
なお、ビッグデータ解析、IoT、AI などの発展に伴い情報教育の重要性が高まっていることを受け、基幹教育及び専攻教育に、工学部生の必修科目として情報系基礎科目を設定する。〈工学部共通・基幹教育科目〉
アクティブ・ラーニングを重視する科目(基幹教育セミナー、課題協学科目)、ICT 国際社会に必要な能力の向上を目指す科目(「サイバーセキュリティ基礎論」、「プログラミング演習」)、教養としての言語運用能力修得と異文化理解を目指す科目(学術英語、初修外国語)、工学の専攻教育に繋がる基礎的知識を学ぶ科目(理系ディシプリン科目)、様々な分野の思考法を学ぶ科目(文系ディシプリン科目)、ライフスキルの向上を目指す科目(健康・スポーツ科目)、多様な知識の獲得と学びの深化を目指す科目(総合科目)などの基幹教育科目を通して、「主体的な学び・協働(A-1,2)」「表現・発表力(A-3)」「工学分野共通の知識・能力・ものの考え方(B-1)」を培う。〈工学部共通・専攻教育科目〉
工学の社会的役割に対する意識を醸成する科目「工学倫理」を通して「社会における工学の価値の理解(D-1)」を育成する。〈情報系基礎科目〉
工学系人材の必要最低限の情報リテラシー科目(「サイバーセキュリティ基礎論」、「プログラミング演習」、「データサイエンス序論」)を通して「工学分野共通の知識・能力・ものの考え方(B-2)」を育成する。【学科群共通教育】(2年次春学期・夏学期)
「専門分野の知識・能力・ものの考え方」を包括的・総合的に身に付け、工学分野間の融合を担う人材を育成する基盤として、当該学科が位置づく学科群共通の必修科目を開設する。「Ⅱ群:物質系」では、この学科群共通教育を通して、物質系工学の諸問題に関する関心の裾野を拡げ、2年次後期からの学科における学士・修士一貫型専攻教育のための土台を築く。
具体的には、基幹教育科目(学科群指定科目)として、「細胞生物学」と「基礎化学熱力学Ⅰ・Ⅱ」を必修科目とする。また、学科群共通・専攻教育科目として、「無機化学第一」、「有機化学第一」、「金属材料大意」、「物理化学第一」、「量子力学第一」、「機械工学大意第一」を必修科目とする。これらの授業科目を通して、「専門分野の知識・能力・ものの考え方(B3)」を保証する。【学士・修士一貫型専攻教育】(2年次秋学期〜4年)
基幹教育、工学部共通・専攻教育、学科群共通教育を通して工学系人材としての共通基盤を形成した上で、学士・修士一貫型専攻教育科目を通して、専門性を高度な水準で極めることを目指す。
すなわち、材料工学科独自のカリキュラムとして、学科必修科目及び学科選択科目を開設し、以下のように学修目標の達成に向けた学修を進める。
まず、2年次後期には、物質プロセスの基礎学問となる物理化学や反応工学、材料物性の基礎学問となる構造材料の創製や加工に関わる組織学や材料力学、機能性材料の理解に必要な固体物理学や電子物性論に関する固体学や電子論などにより材料工学の基盤を固める。また、上記の学修内容を「材料工学実験第一」として、実際に機器を用いた実習形式の基礎的な実技科目も開始する。3年次以降の専攻科目に共通して必要となる「複素関数論」といった基礎数学も学ぶ(D-3)。これらの科目の履修を通して、「知識・理解(B-3~B-7)」を育成するとともに、「材料設計製図」を通して「評価・創造」に関する技能を修得する(C-2-1)。
つぎに、3年次には、2年次に身に付けた材料工学に関する基礎知識を基に、専攻教育科目の中でも、「材料電気化学」や「凝固及び結晶成長」など材料工学に必要な専門的な知識を身に付ける科目を中心に履修し、徐々に自分の取り組む課題を明確化し、課題の解決方法を模索する能力を培う。3年次前期は、「超伝導材料工学」や「材料強度物性」といった各種材料におけるプロセスや物性に関する各論を通して、高度な専門知識の融合を図り、材料工学技術者として必要な知識を修得する。また、熱力学や反応速度論に関する「冶金物理化学Ⅰ・Ⅱ」および「材料工学実験第二」などにより「適用・分析(C-1-1~C-1-3)」の能力を培い、「材料工学実験第二」により実践することで、より確実な「知識・理解(B-3~B-7)」として体得する。そして「機械工作実習」を通して「評価・創造」に関する技能を修得する(C-2-1)。さらに、企業から招いた外部講師による「産業科学技術特別講義」を通して産業界における材料工学の役割について理解し、社会において材料工学的知識と技能を「実践(D-2)」に繋いでいく能力を培う。3年次後期は、「鉄鋼材料工学」、「材料表面科学」や「半導体工学」など、材料工学に特化した専門性の高い講義を開講する。また、「無機材料解析学」といった電子顕微鏡や X 線回折などの材料解析手法やそれらの原理に関する授業科目、ならびに「高温材料強度学」や「エネルギー材料工学」といった物質プロセスや材料物性に関する専門性の高い講義を開講も開設する(D-5, D-6)。その多くは選択科目に分類され、学生がこれから進む道を自ら選ぶ形となっている。また、3年次前期と同様に、「材料工学実験」により「適用・分析(C-1-1~C-1-3)」の能力を培い実践することにより、より確実な「知識・理解(B-3~B-7)」として体得する。
材料工学科独自の情報系科目としては「データサイエンス」を開設し、近年重要となりつつある情報科学と材料工学との融合について学習する(B-2、D-3)。【卒業研究】(4年次)
教育課程の履修を通じて修得した知識・能力・ものの考え方を総合的・統合的に発揮して、仮説検証型・課題解決型の学修に実践的に取り組み、問題発見能力や問題解決能力を高めるための一つの極めて重要な学修経験として、卒業研究を課す。学士・修士一貫型教育の学士課程最終年度に取り組む本課題は、学生の一人一人が教育課程の前半期における自己の学びを振り返り、後半期に向けて専門性をより高度な水準に鍛え上げていくための重要な契機とする。【継続的なカリキュラム見直しの仕組み】
カリキュラムは、二つの分節に区分して運用する。第1分節の「基盤」期(1年次~3年次)には、工学部共通教育と学科群共通教育を通して基盤的な学びの姿勢と知識・理解(主体性・専門性)を修得した上で、学士・修士一貫型専攻教育の前半期の学びに取り組み、発展的な知識・理解およびその活用力(専門性・先導性)を修得することが期待される。第2分節の「統合」期(4年次)には、学士・修士一貫型専攻教育の前半期の学びを振り返り、知識・能力の統合と新しい知識を創出する能力(先導性・国際性・学際性)を修得することが期待される。
当該分節の中で焦点化した学修目標の達成度は、それぞれの分節の終盤に、以下の方針(アセスメント・プラン)に基づいて評価し、その評価結果に基づいて、授業科目内の教授方法や授業科目の配置等の改善の必要がないかを「カリキュラム検討委員会」において検討することで、教学マネジメントを推進する。《アセスメント・プラン》
・「基盤」期の評価:3年次までの工学部共通教育、学科群共通教育、学士・修士一貫型専攻教育の学修成果について、学修目標達成度調査に基づいて検証する。
・「統合」期の評価:4年次の学士・修士一貫型専攻教育の学修成果について、学修目標達成度調査に基づいて検証する。 -
ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)
工学部の教育の目的
本学部は、「九州大学教育憲章」に則り、主体性と工学分野の専門性、先導性、学際性、国際性の育成を目指す学士・修士一貫型教育における学士課程の教育を通して工学の専門性を活かしたジェネラリスト、及び高い倫理感と国際性をもって我が国の工業技術を先導し、人類社会の課題解決に貢献する工学のプロフェッショナルの基盤を培うことを目的としている。
この工学部共通の目的の下に展開する各学科における教育目標を達成した者に、学士(工学)の学位を授与する。学科の教育の目的
材料工学は、あらゆる構造物やデバイスを構成する材料を創製し、またその物性を制御することを追求する学問である。本学科では、物質におけるナノレベルでの原子や電子の振る舞いから、マクロレベルでの材料の製造プロセス制御および材料の特性発現に関する原理や概念に関して教育を行う。同時に、地球規模の省資源や環境保全を常に念頭に置き、世界的な価値観を有する創造性豊かな技術者・研究者の育成を目指す。
そのため、以下の教育目標を達成した者に、学士(工学)の学位を授与する。
・自然科学の基礎的な理論や概念を十分に理解した上で、専門となる材料工学分野の知識と技能を身に付けること。
・社会における課題を見出し、かつそれを材料工学の知識と技能を用いて解決する能力を身に付けること。
・世界的価値観を有し、国際的に通用する創造性豊かな技術者や研究者になり得ること。参照基準
日本学術会議『大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準材料工学分野』2014 年を参照。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-h140901-1.pdf学修目標
A.主体的な学び・協働
A-1. (主体的な学び)専門的知識と教養を元に、自ら問題を見出して批判的に吟味・検討するとともに、それを解決すべく自主的に学修を進めことができる。
A-2. (協働)様々な人々と議論を行って多方面から問題を検討し、協働して問題解決にあたることができる。
A-3. 文章表現能力、口頭発表能力および討論能力を持って広く世界と交流し、効率的に情報を吸収・発信できる。B.知識・理解
B-1. 物理学、化学、数学の様々な概念を理解し、その基となる理論で自然科学における現象を説明できる。
B-2. 情報科学の基礎を理解し、様々なデータから有用な情報を導き出すことができる。
B-3. 物質・材料に関する基礎的な特性・現象を説明できる。
B-4. 物理化学を基礎とした物質・熱・運動量の移動現象についての様々な理論や概念を説明できる。
B-5. 応力およびひずみの概念を理解し、力学特性発現の原理や機構について説明できる。
B-6. 物質の原子配列、電子状態やバンド構造が及ぼす電気および磁気特性などへの影響を説明できる。
B-7. 金属材料における組織形成の原理を理解し、組織制御のために有効な加工や熱処理技術を提案できる。C.能力
C-1. 適用・分析
C-1-1. 各種分析装置の原理を理解し、材料の組成や構造の解析手法について説明できる。
C-1-2. 材料に関わる現象を理論に基づいてモデリングし、解析できる。
C-1-3. 実験結果を分析し、論理立てて自分の考えを表現できる。
C-2 創造・評価
C-2-1. 無機材料など各種工業材料の物性と用途を理解し、構造物の設計ができる。D.実践
D-1. 技術が社会に及ぼす影響を常に考慮し、社会に対する責任と倫理観を持つ。
D-2. 科学技術社会に潜む諸問題を理解し、用途に応じた適切な構造・機能材料の設計指針を提案できる。
D-3. ものづくりの基礎となる実験・解析手法の習得を通して,工学的問題を解決できる。
D-4. 論理的思考を駆使して新たな科学技術を体系的に把握できる。
D-5. 無機物質の熱処理や製造プロセスについて,背景に存在する熱化学速度論を含めて製造プロセスを最適化ができる。
D-6. 金属を中心にセラミックス、半導体等を取り扱う無機物質科学の物性と用途を理解し、社会に還元できる。


























