Department Overview 専攻概要
鉄鋼から半導体、エネルギー材料まで。118の元素から無限の可能性を引き出す学び
材料工学専攻は、スマートフォンに用いられる材料から航空機の構造材、半導体デバイス、さらに量子材料まで、社会の基盤そのものを支える“材料”を生み出す学問の最前線に位置づけられています。その学びは、単なる知識の暗記ではなく、原子や電子のふるまいを理解し、そこから製造プロセスを設計し、最終的な材料特性を引き出すまでの一連の流れを、ストーリーとして体験できる点に大きな特徴があります。
社会の変化が加速する現代においてなぜ材料なのかと問えば、すべての技術革新は最終的に“材料の転換点”から始まるからです。カーボンニュートラルの実現も、半導体サプライチェーンの再構築も、電動化や水素社会への移行も、その根底には新しい材料や進化したプロセスへの需要があります。九大材料では、こうした現実を踏まえたうえで、材料が持つ目に見えない世界を読み解く力と、社会の課題を材料という視点で理解する力を、学部の段階から段階的に育てていきます。
とくに特徴的なのは、学部教育から修士課程までを一貫した流れでつなぐ“6年一貫型”の教育設計が整備されている点です。学部で基礎を固め、その先の大学院で一気に応用力と発信力を伸ばす。言い換えれば、学部の4年だけで学びを完結させるのではなく、その先の2年間を含めて初めて“材料の専門家”と呼べるレベルに達するように設計されているのです。

Educational Aims 教育目標
九大材料では「学部はスタート地点であり、修士こそが実力を形にするフェーズである」という考え方が貫かれています。
学部で得た知識や興味は、まだ“点”に近いものです。それらは大学院に進学することで初めて“線”となり、“面”となり、自分がどの領域で戦えるのか、何を武器にできるのかがはっきりと見えてきます。
修士課程では、原料精製から組織制御、特性評価、新材料創製、プロセス開発までを専門的に扱う科目群を通じて、材料を設計し応用できる力を磨きます。同時に、物性発現の概念や原理を横断的に理解する先端科目では、たとえ自分が触れたことのない材料でも原理から説明できる“本物の専門性”が育ちます。企業と連携しながら社会ニーズを学ぶ科目では、実際の製品や技術開発の文脈で材料を考える視点が身につき、異分野科目では材料を軸に工学全体を俯瞰する力が養われます。こうした学びは、学部だけでは決して得られない深さを持っています。
博士課程まで進めば、世界の研究者と協働しながら独創的な研究をリードしていく力を鍛える段階へと進みます。グローバルに活躍したい学生にとって、これは確かな跳躍の機会になるでしょう。


Policy 専攻ポリシー
アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)
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アドミッション・ポリシー
材料工学では、金属・セラミックス・半導体等の無機物質科学に関する基礎的な学問を礎に、社会環境を支える材料工学技術に関する学術の成果を修得し、広い視野で活躍する研究者・技術者として成長できる人材を求めています。
- 学部における基礎科目の履修を通して獲得される材料工学に関する知識・技能、加えて、材料工学を支える基礎学問を習得していること
- 未来社会を支える基盤となる優れた素材の創生と評価、高効率で環境に調和したプロセスの開発設計などを目指す意欲があること
- エネルギー・環境問題の改善、高度な医療と情報化に基づく材料ナノテクノロジーの推進に指導的役割を果たす意欲があること
- 無機、金属、半導体材料を創製し、それらの物理的、化学的、力学的特性をナノ領域(電子論、量子論)からマクロ領域(反応速度論、熱力学、統計力学、溶液論)にわたって体系的かつ定量的に理解する意欲があること
- 科学現象を多面的に考え、自分の言葉で人に伝える資質、広く応用力・創造力・国際性を獲得するために努力を惜しまない姿勢を持っていること
- 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、異なる考えに共感する寛容性、常に自らを向上させようとする意欲があること
カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)
ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)
Education and Research Fields 教育・研究分野
九大材料を特徴づける三つの柱に基づき幅広く構成されています。
第一の柱である冶金物理化学では、化学熱力学や反応速度論、相平衡、電気化学を土台に、金属や無機材料の抽出・精製・反応プロセスを扱い、環境負荷を抑えた高効率プロセスを設計する能力を養います。電解や溶融塩プロセスなど、資源循環や脱炭素社会に直結する技術が対象となるため、エネルギーや材料メーカーが必要とする人材像とも強く結びついています。
第二の柱である構造用金属科学では、鋳造、凝固、塑性加工、熱処理などのプロセスとミクロ組織の制御を結びつけ、強度、靱性、疲労、耐環境性といった材料特性を自在に設計できる力を身につけます。自動車、鉄鋼、インフラ、重工といった日本の基幹産業に直結する内容であり、就職活動において圧倒的に強い武器になります。
第三の柱である機能材料科学では、半導体、金属、セラミックス、薄膜などの高機能材料を、原子・分子操作や表面反応制御、結晶欠陥制御を通じて創製し、その物性を解析します。ナノスケール・極微小領域の解析から環境調和型の新材料設計までを含むため、エネルギー、情報通信、医療などの未来技術と直接つながる研究に取り組むことができます。
さらに九大材料では、材料開発に計算科学や第一原理計算、AIを取り入れる“データ駆動材料開発”が進んでおり、大学院ではこうした最先端のスキルも身につけられます。これは実験・理論・データを使いこなせる、現代の産業界が求める最強のスキルセットです。
こうして学部から修士へと進むことで、学生は“自分が見ている世界”そのものが変わる経験をします。学部のときにはただ面白いと感じていた現象が、大学院ではモデルとして説明できるようになり、企業のニュースが自分の研究と自然につながり、就職活動では“材料の言葉で話せる人”として信頼されるようになります。学部だけでは見えなかった“選択肢の広さと深さ”が、修士進学によって一気に開けていきます。
九大材料の教育体系は、こうした成長のプロセスを必然として埋め込んでいます。だからこそ、この学科では「迷ったら修士へ」ではなく「修士まで行くのが自然」という言葉がしっくり来るのです。学部で芽生えた興味や好奇心を、社会で通用する“解く力”へと変えていくために、この6年間を最大限に活かしてほしいと思います。
冶金物理化学講座
反応制御学研究室
材料電気化学研究室
融体物理化学研究室
構造用金属科学講座
材料複合工学研究室
結晶塑性学研究室
構造材料工学研究室
凝固工学研究室
機能材料科学講座
ナノ材料組織解析学研究室
半導体工学研究室
機能性材料・物性評価研究室
エネルギー材料工学研究室
薄膜工学研究室


























