固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、高効率かつ高耐久な燃料電池の1つです。
水素を燃料とし、発電時に二酸化炭素を排出しない発電デバイスであり、水素エネルギー社会実現に向けた中核技術として注目されています。しかし、発電の動作温度は700~800℃と高く、高価な耐熱材料の使用による材料コストが課題となっています。もし300℃程度の中温度域で発電できれば、より安価な耐熱材料の使用によるコスト削減が期待されますが、この温度域で十分な性能を持つ電解質材料はこれまで見つかっていませんでした。
我々の研究グループは、スズ酸バリウム(BaSnO3)とチタン酸バリウム(BaTiO3)にスカンジウム(Sc)を高濃度で置換することで、SOFCの電解質材料に求められる「プロトン伝導率が0.01 S cm-1以上」という条件を、300℃で達成する酸化物を開発しました(図1)。
さらに、国内の計算科学、電子顕微鏡を専門とする研究者と共同でプロトン伝導機構を調査したところ、ScO6八面体が連なった特徴的な原子配列が、結晶内での高速なプロトンの移動を可能にしていることが解明されました(図2)。
今回の発見は、プロトン伝導性酸化物が1981年に発見されて以来、その高性能化を阻むプロトントラップ回避方法を初めて提案、実証した点に意義があります。これにより、低コストな中温動作SOFCの実現に繋がり、SOFCの実用化や多用途化を大きく加速させることが期待されます。




























